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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)947号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告和代の損害の基礎事実も当事者間に争がない。右事実関係のもとにおいては、同原告は原告昭の妻として自己固有の慰藉料請求権を有すると認むべく、その主張する慰藉料請求権を有すると認むべく、その主張する慰藉料額は相当と認められる。

原告俊博、同保晴、同章子が原告昭の子であることは当事者間に争がない。しかし、本件の事実関係のもとにおいては、右原告らの慰藉料請求は主張自体失当というべきである。(親が身体を害されたことによる子の精神的苦痛は、親自身の損害が十分に賠償されることによつて通常は同時に満足されるはずであるし、民法七一一条の立法趣旨、法律関係の単純化、明確化の要請からしても、親の負傷の場合子の固有の慰藉料請求権は原則として認められないと解するのが相当である。もつとも、親の負傷が文字どおり死にも等しい程のものである場合、あるいは子が負傷した親の身辺は世話しなければならなくなつたこと等により金銭に評価しえない大きな損失をこうむるに至つた場合等には例外的に子の慰藉料請求権を認むべきであろうが本件ではかかる特段の事情をうかがうことはできない。不具の夫を持つことになつた妻の損害と、不具の親を持つことになつた子の損害との間には一般に質的な相違があるから、本件のごとき事案において両者の法的取扱を異にすることもやむをえない。)(楠本安雄)

<編註> いわゆる欠席判決であり、判文に関係のある請求原因事実は、次のとおり。「本件事故<編註、発生日時は昭和三九年七月三日>に因る原告和代、同俊博、同保晴、同章子の損害は左の通りである。

(一) 原告相代に対する慰藉料 金三〇〇、〇〇〇円也

原告和代(妻、昭和八年六月生)は大黒柱たる夫原告昭を悲惨なる本件輪禍により家庭から突如奪われ、爾後約一年半に亘る夫の入院治療生活中、幼い子三人を擁して不安におののき辛酸をなめたのである。

しかも漸く夫を家庭に迎え得たものの、夫は右下腿部を失う不具の身となつたのであるから、同女に対する慰藉料としては金三〇〇、〇〇〇円が相当である。

(二) 原告俊博、同保晴、同章子に対する慰藉料 各金一〇〇、〇〇〇円也

原告俊博(昭和三一年八月生)、同保晴同三三年七月生)、同章子(同三九年五月生)は、いずれも父を不具の身とされたのであるから、その慰藉料としては各一〇〇、〇〇〇円が相当である。

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